#もっと深く ~システム思考で紐解く~
ステップアップ・セッションの3つ目は、「#もっと深く~システム思考で紐解く~」の講座を開催。
“風が吹くと桶屋が儲かる”-----
一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶことの喩え。
これはまさに因果のつながりからできています。このことわざからわかるように、その問題の真の解決策は問題のすぐそばにあるとは限らない。「個別最適化ではなく、全体最適化を図りたい」「本質的な問題解決を図りたい」―そういった状況で役に立つのが、システム思考です。システム思考とは、解決すべき対象や問題を「システム」として捉えた方面的な見方で原因を探り、問題解決を目指す方法論です。
このステップアップ・セッションでは、「学習する組織」(原著:ピーター・センゲ,小田理一郎)の著書を参考にアクティブ・ラーニング・ファシリテーター上井 靖さんの進行で開催しました。
そもそも、システム思考とは、複雑・不確実な状況において、全体、対局、構造、根本を見るものの見方・思考法のこと。いわゆる、“木を見て、森も見る”ことです。また、問題を表層的に捉えず、真の問題解決を図る対話手法を学びます。
システム思考で、いまチームで抱えている悩みを紐解くためにはまず「なぜそうなるのか?」という俯瞰で見る視点が必要です。
・今起こっているパターンを明らかにする。
・今起こっているパターンを生み出す相互作用の構造を理解する。
・構造に関わる自身や関係者の意識・無意識の前提を明らかにする。
“システム思考”は、東洋医学的なアプローチ。いわば、漢方薬のようなものです。“論理的思考”は、西洋医学的なアプローチ。外科手術、抗生物質投与などが挙げられます。
言い換えるとシステム思考とは・・・
・対処療法に陥らない問題解決手法
・問題を俯瞰して、急所を捉える
・見えなかった思い込みに気付く技術
そこで、漢方薬投与的(システム思考)なアプローチをしてみよう!ということで、「チームの人数が減ってきた」というどこのチームも問題を抱えそうなテーマで、事前検討ワークをファシリテーションの手法の1つであるワールドカフェで行いました。
まずは、問題のシステムの構造を理解するために、『ループ図』を作成します。ループ図は、とてもシンプルなツールで、基本ルールを覚えればすぐに書けるようになります。ループ図を作成するときにもっとも基本的なルールは、課題となっているシステムの要素(「変数」といいます)を名詞の形で書くことです。変数は、システムの中で増えたり、減ったりするものです。時間と共に変化しうる「状況」や、あなたやほかの関係者の「認知」と「行動」もすべて変数となります。
ワーク開始直後、みなさんどこから始めたらいいのか、どうしたら完成なのかがイメージできていなかったので、とても苦戦していました。「変数」を最初、文章の形で表現していたので、そこを「変数化する=“名詞”に置き換えてみる」と作業をしました。例えば、“地域の人がチームのことを知らない⇒認知度”という風に、原因を名詞に置き換えて名詞を組み合わせていくとループしやすくなります。こうして、新たなループがつながるようになりワークがうまく回り始めました。
ワールドカフェの第2ラウンドでメンバーを変えて再度話し合うと、また違った意見や、似たような意見があったりそこのテーブルのループを指摘したりと新たな発見が見つかっていた様子でした。行き詰まった時には俯瞰的に見ると、また新たな視点や考えが出るようなワークでした。
システム思考で考えるときに大事なことは・・・
・今一度、自分たちのループを俯瞰してみよう!
・どんな「思い込み」を発見しましたか?
・「いつも陥ってしまうパターン」は何?
・急所(レバレッジポイント)は何?
・それぞれの気づきをシェアしよう!
こんな視点で物事をとらえてみる。いつもと違った思考から、原因を発見し新たな気づきがあります。このセッションのタイトルにもなった「#もっと深く」物事を見ることによって、解決策は自ずと生まれてくるのです。